カテゴリー: 美術品こぼれ話

美術品こぼれ話

「草間彌生」展の来館者数が1万人を達成しました!

県立美術館では、4月13日に開幕した「草間彌生~永遠の永遠の永遠~」展の来館者数が、昨日、1万人を
達成しました。見事1万人目の来館者となられたのは、愛知県春日井市からお越しの立松英也さん(写真右端)
と沙友里さん(写真左端)のご夫婦です。

これを記念し、同日10:30から記念セレモニーが行われ、1万人目の来館者となられたお二人のうち、
奥様の沙友里さんに当館の芳賀館長より花束が贈呈されました。

続いてご主人の立松英也さんには、本図録と記念品が贈呈されました。思い掛けない出来事に
立松様ご夫婦もビックリ!思わず満面の笑みがこぼれました。

今回、本展の1万人目になられました立松英也様、沙友里様、本当におめでとうございました。
これからも是非、県立美術館にお越しください。

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《地獄の門》の裏が熱いぜ!

現在、ロダン館では、「やぐらプロジェクト」と「折り紙プロジェクト」が好評開催中です。めったにない機会ですので、お見逃しのないよう、ぜひご覧ください。

そこで、ロダンの彫刻についてのこぼれ話を。今回の企画では、《地獄の門》の裏面をのぞき見ていただけます。

当館の《地獄の門》は、上下2分割で鋳造されたのち、結合して作られています。表側から見るときにはまったくわかりませんが、裏面をのぞいてみると、確かに上下の境と、それをつないでいる太いボルトとナットを見ることができます。

《地獄の門》は重さが約7トンあるといわれていますので、上下それぞれおよそ3.5トンずつの重量ということになり、それらが縦に積み重なっているというわけです。あらためて考えてみると、すごいことです。

この作品は、その名の通り、もともとは大きな門扉として作られたため、高さや幅に比べて奥行きの薄い形、つまり薄っぺらい形体をしています。薄いものを縦に積み重ねて立てるのは至難の業です。ですから、当然ながら作品そのものが自立できるはずはなく、作品の裏側に大小さまざまな支柱や骨材を渡して、建物(ロダン館)に頑丈に固定して、立たせています(今回はその耐震性の支柱なども見ていただけます)。

古来より巨大なものを立てる、積むといった行為は、重力にあらがい、たった2本の足で立ち上がる人の意志の強さを連想させるものです。彫刻や建築にたずさわる者たちは、いつもこのロマンを追い求めているのかもしれません。

今や、《地獄の門》の裏面は、冷たく、ひっそりと静まり返っています。しかし、かつて、7トンの重量物を鋳造し、積んで、つないで、運んで、立てることにたずさわった人たちがいて、その燃え盛るような情熱が、この裏面に込められていたに違いありません。今回、特別に開放している裏面の点検口をのぞきながら、ものを作ること、立てることのエネルギーに思いをはせてみるのも、一興でしょう。

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鳩の彫刻(その2)

以前、このブログ(4/20)で紹介しました柳原義達《標・鳩》。足を傷めたため野外展示から室内展示に切り替わりましたが、それ以来、いろんなところに出没しています。今度は浜松市へ舞い降りました。

浜松江之島高校で今日から開催の移動美術展。教室の一室をお借りして、ロダン《考える人》(小型像)、石田徹也《トイレに逃げ込む人》《めばえ》、曽宮一念《自画像》などが展覧されています。

大人気の伊藤若冲《樹花鳥獣図屏風》の高精密レプリカも展示されています。・・・ん?右端に何かいます。

動物づくし、鳥づくしの屏風の影から、僕もいるよって、顔をのぞかせています。絵の中の動物たちと、張り合っているつもりなのでしょうか(笑)。

この移動美術展は、11/5(土)まで開催しています。ただし11/3(祝)はお休みです。午前9時30分~午後4時30分まで、一般の方も見学できます。ご希望の方は事務室へお立ち寄り下さい。

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絵の木枠のはなし(その3)

現在開催中の収蔵品展「彼方からの光」では、フランク・ステラ《Nowe miasto Ⅱ》という作品を展示しています。この作品は、いわるゆ「シェイプト・キャンバス」と呼ばれるもののひとつです。これは、様々な線条や矩形からなる複雑な形をした絵画作品で、絵画は四角いものだという常識をくつがえした、実に革新的な表現でした。「シェイプト・キャンバス」は一時期ステラの作品の代名詞ともなった特徴です。

この複雑な(あるいは単純な形体の反復からなる)形の絵画作品の裏面の木枠が、いったいどうなっているのか、以前から不思議でしょうがありませんでした。今回、この作品を展示する際に、その裏側をじっくり観察することができました。

その観察の結果は、作品の形を構成する大きなパーツごとに、やはり木枠が組んであるということでした。三角形とかひし形とか、大きなまとまりごとに木枠をつくり、それらの木枠どおしをボルトで結合して全体を組み上げてあります。そしてその上にボードを貼り、さらに様々な素材をレリーフ状に貼って作品ができています。

この木枠の組み方は、作品の形体にそっているため(というか、木枠が形体を決めているため)、構造的に無理がなく、非常にがっしりした強固な枠になっています。おそらくシェイプトキャンバスの理念とも合致した、たいへん理にかなった作りなのではないかと思います。ステラ自身が制作したのか、あるいはアシスタントによるのかは知りませんが、さすが世界に名をなす作家だけのことはあると、感心しました。ただのコンセプト重視ではなく、造形的にもしっかりしたものを作れること、それが巨匠というものかもしれません。

言葉だけではなんのことかわからないと思いますので、ぜひ展示室に来て、現物の作品を見てください。裏面を見ていただくことはできませんが、表面から見ながら、この作品の構造がどうなっているのか、想像してみるのは楽しいものです。ステラのシェイプトキャンバスの作品のかっこよさ、強さ、確かさは、目で見ないと分からないと思います。

ということで、今回のブログではあえて画像を掲載しませんでした。とても意地悪ですが、ごめんなさい。収蔵品展「彼方からの光」は、10月16日までです。(下は展示風景です。)

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草間彌生《無題》海外貸出へ(その2)

以前、このブログでご紹介しましたが、当館所蔵の草間彌生の初期の大作が、いよいよパリとロンドンに貸し出されることになりました。

梱包用に特注した木箱です。ここに作品を収めます。ただしこの箱は、国内輸送用の内箱にすぎません。国外輸送のために、この箱をさらに大きな気密式の外箱に入れるのです。箱の制作や、作品の取り扱い方については、当館学芸員と修復家、そして輸送業者が、これまでに何度も何度も長い打ち合わせを重ねて、できたものです。すべては作品を安全に運ぶためです。

 

丈夫で、しかし軽量化するために、部分的に段ボールを使っています。しかし段ボールといっても、3枚重ねになっている特殊なもの(トライウォールと呼んでます)で、たいへん強靭です。

木箱(内箱)の底面です。内箱は立てた状態のまま、外箱に引き出しのようにすべり込ませて収納します。そのため底面には滑りやすいような加工が施してあります。また出し入れするさいに引っかからないように、緩衝材などの出っ張りは面取りして角を削ってあります)。(今回担当してくれたヤマトさんのきめ細やかな技です。)

作品を木箱に入れました。この作品は側面のへりの部分まで絵の具がついているため、側面や底面をふれないように、基本的に木箱のなかに宙づりのような形でおさめます。長い輸送のあいだに留め金具がゆるまないよう、しっかり確認しながら固定します。作品の表面での作業になるので、手が触れたり、ものが当たったりしないよう、緊張して行動します。

作品を立てた状態で作業し、輸送するのは、これだけ大きな作品だと平置きにするとキャンバスがバタバタして絵の具層にダメージが加わるからです。その衝撃を緩和するためにキャンバスと木枠の間にインサートという特殊な素材を入れてあるのですが、それでもそのリスクを軽減するために、可能な限り、作品を横に寝かさずに、立てた状態のまま、梱包、輸送、展示する方法を考えたのです。

トラックに載せます。立てたまま運ぶために、トラックも大きな10tトラックを使います。学芸員が同乗して、ひとまず東京の輸送会社の倉庫へ運びます。そこで外箱に入れて、飛行機で旅立ちます。

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