作れちゃう

3/3 わくわくアトリエ 江戸アニメ「写し絵」ワークショップ

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ワークショップの記録です。1968展の出品作家で映像作家の中嶋興さんをお招きして、江戸アニメ「写し絵」ワークショップを開催しました。江戸時代に大衆に娯楽として親しまれた「写し絵」は、現代のアニメのルーツとされています。今回のワークショップでは、写し絵を通じて、動画の仕組みや歴史を学び、さらにフィルムに絵を直接描いて、動画を作る実験をしました。静岡県美では初めてのアニメに関連したワークショップになりましたが、子どもから大人まで、幅広い年代の方々が参加してくださいました。アニメの歴史に触れて、制作に挑戦した充実の1日の様子をご覧ください。

講師の中嶋さんは、1960年代よりフィルムに直接描いた絵を、16㎜映写機で動画として上映する「カキメーション」を発案し、このカキメーションの手法により《精造機》1964年(4分、16㎜フィルム、絵具、音楽)をはじめとするアニメーション作品を多数発表してきました。同作品を含む作品は、ニューヨーク近代美術館(MOMA)にも収蔵されています。

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まずは動画の歴史についてのお話の後、これまでに実施された「写し絵」の映像を見て、実際にその場で投影しました。こちらの中嶋さんがお持ちの光っている箱が、「風呂」という投影機です。江戸時代に西洋から投影機が輸入され、日本は独自にこの木製の投影機を作りました。持ち手が熱くなることや、形が風呂桶に似ていることから「風呂」と呼ばれています。

伝統的な写し絵の上映では、語り手と楽器の音に合わせて絵が動きますが、その仕組みは鑑賞者には分かりません。今では仕掛が何となく想像できますが、電気の無かった時代に、暗がりに浮かび上がる絵、しかも自在に動くということが、当時の人々にとってどれほどの驚きだったのでしょうか。 当時の人々は、私たちが映画を見るように楽しんでいたようです。

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投影機のフィルムの役割をするものを「種板(たねいた)」と呼びます。この種板を風呂にはめることで、絵が投影されます。江戸時代ではガラスを使用したそうですが、今回は透明プラスチックに絵を描きました。この透明な板をスライドさせて、絵を動かします。5cmの小さな絵が、自身と同じくらい大きく投影されます。

仕組みが分かったところで、種板づくりに入ります。まずは下絵を描きながらモチーフのどの部分を動かすのか考えます。

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シンプルに鳥が飛ぶ様子を表現したい場合でも、背景を動かすのか、鳥自体を動かすのか、それとも両方動かすのか…さまざまなやり方があります。コマ数自体は2コマと短いのですが、意外と難しいものです。

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下絵が完成したら、油性のマジックを使って描いていきます。

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完成した人から一人ずつ投影に挑戦です。描いたのは小さな絵ですが、自分より大きく投影されます。

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動物、人、キャラクターなど、さまざまな主人公が登場しました。2コマという短い作品ですが、それぞれ工夫が凝らされています。思いがけない場面の変化に、見ていると前後の物語を想像したくなります。なかには3コマで作った参加者の方もいました。

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実際に自分で投影してみると分かるのですが、種板を動かすことが意外と難しいのです。伝統的な上映の仕方ですと、風呂を持って、種板を動かし、さらに自分も風呂を持って動くので、投影する役は演者としてとても忙しい動きをされていることが分かります。

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午後の部は、「カキメーション」に挑戦です。午後はさらにコマを増やして、絵を動かすことに挑戦しました。今回は、フィルムに直接絵を描きます。約30mのフィルムを1人当たり1.5m程度ずつ描きました。フィルムの種類は、16mmという、家庭で使うカメラに入れるフィルムよりもずっと細いフィルムです。

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30mを広げて皆で一気に描きます。保護者の方も一緒にカキメーションに挑戦です。具体的なモチーフを動かしても良いですが、抽象的な形の動きも面白いので、数色の色を使って、連続的に描いていきます。

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フィルムの穴と穴の間が1コマで、12コマで1秒になります。形の動きを想像しながら実験的に描き進めます。パラパラ漫画のような仕組みですね。

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さらに、「ヒッカキメーション」にも挑戦しました。使うフィルムは事前に乳剤が塗布されており、不透明です。この乳剤を引っかいて剥がして、剥がしたところにマジックでインクをつけます。一体どのように映るのでしょうか?まずは、ニードルやサンドペーパーなどの道具を使って、フィルムを引っかきます。強く引っかくとフィルムが切れてしまうので、加減して様子をみながら進めます。

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切符の穴をあける機械や、パンチで穴を開けてみた箇所もありました。銅版画制作で使っている金属製のやすり、消しゴム判子など、あらゆるものを使って線を作り、油性マジックで線に色を付けます。

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とても長いフィルムでしたが、お友達や大人と協力しつつ、描き上げました。どのように出来ているのか想像しつつ、わくわくしながら描き進められるのがアナログの醍醐味の一つです。

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さっそく上映会です。こちらの16mmの映写機を使って上映します。スイッチを入れると、ランプが点いて、フィルムが回り、フィルムを巻き取る、シュルシュル、カタカタという音がします。

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さて、どのように仕上がったのでしょうか?ここではほんの一部をキャプチャーして掲載します。一コマずつ描かれたものから、色と線を使った実験的なものまで、各々の表現が1本のフィルムに凝縮され、見応えのある映像ができました。こちらはカキメーションで作った映像です。

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こちらは、ヒッカキメーションです。引っかいたところから映写機の光がそのまま通り、白く光っています。キラキラと流れる光の美しさが印象的でした。

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それぞれの方法で、約6分間もの映像を作ることができました。今や子どもたちにとってスマートフォンや、動画共有サイトは身近な存在です。今回は、絵を描いて、直接投影するというアナログな手法に挑戦しましたが、出来上がった作品を見ると皆さんの描いた線がとても生き生きしていて、手描きの面白さというものを改めて感じました。今回は短い映像を作りましたが、作り手の経験をすることで、「絵が動くこと」について体感的に知ることができたのではないでしょうか。ご家庭でもまた挑戦してみてくださいね。

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2/10-11 オリジナルの手ぬぐいをシルクスクリーンでつくろう

 

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実技室プログラムのお知らせです。創作週間スペシャル「オリジナルの手ぬぐいをシルクスクリーンでつくろう」を開催しました。今回はオリジナルのパターンをつくって、手ぬぐいにプリントしました。当館では久々のシルクスクリーンの講座、さらに初の「パターン」をテーマにした講座になり、スタッフも皆さんと一緒に勉強しながら挑みました。どのような作品が仕上がったのでしょうか?作品と共に、2日間の様子をご覧ください。

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今回の講師は当館シルクスクリーン講座でおなじみの、北川純氏にお越しいただきました。
まずは、初心者の方もいらっしゃるので、シルクスクリーンの説明からしていきます。シルクスクリーンは、版画のなかでも、孔版の部類です。簡単に言うと、版に空いた穴からインクが落ちてプリントされる仕組みになっています。

製版には、光(紫外線)を用います。まずは全員で、紫外線に反応して固まる乳剤を版に塗布します。この時、乳剤が厚くても薄すぎてもいけません。液体の扱いが難しいので、慎重に作業進めていきます。

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このように乳剤が塗布できたら、しばらく置いて乾燥させます。今回は隣の講座室を暗室の状態にし、スタッフがドライヤーで速乾させました。

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版の乾燥を待ちながら、下書きを進めます。シルクスクリーンは、版となるスクリーンの目の細かさが決まっているので、あまりに細い線を出すことはできません。できる限り白黒がはっきりとした、太めの線の原稿を作ります。

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原稿が出来たら、いよいよ感光です。紫外線が出るライトボックスに、原稿を置き、その上に先ほどの乳剤を塗布したスクリーンを置きます。さらに重石をのせて、スクリーンと原稿を完全に密着させます。 そして感光です。ここでは、感光する時間が肝です。今回は、3分半程度の感光で製版してみました。その時々によって、感光時間を調節します。

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感光が終了した後は、流水で現像させます。

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上手く絵が現れない場合は、感光時間を変えてもう一度チャレンジします。この日は何枚か上手く絵が現れず、何枚か感光し直すことになりました。なぜ感光が上手くいかなかったのか…悔しさと悲しさが入り混じった感情と共に、新しい版の準備をします。

ここまでで、1日目が終了です。

 

2日目、製版が終わっている方からプリントに移ります。

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今回はのテーマは、パターンということで、絵を連続的にプリントさせていきます。支持体となる手ぬぐいが乗った台に、見当をつけます。さらに版を固定具を使って位置を定めます。プリントしたら、手ぬぐいを横にライドさせてそのまま隣にプリントします。この手順を、プリントしたい回数に合わせて繰り返します。

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やり方が分かったところで、まずはインク作りから始めます。今回のプリントする手ぬぐいは、白と紺です。同じ絵柄でも、布とインクの色よって、異なる印象になります。プリントしたらどのような色味になるのか想像しながらインクを作ります。

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インクが準備出来たら、各自のペースでプリントを進めていきます。下書きの時点で繊細な線があった図案も、丁寧な製版でキレイに仕上がりました。

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続々と、皆さん真剣にプリントを続行されて、あっという間に終了時刻を迎えました。

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さて、どのような作品が仕上がったのでしょうか?皆さんの作品をご紹介します。

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最後は全員で完成した作品を見せ合いました。参加者同士で、インクを使いまわしている方もいらっしゃいます。同じ色でも、モチーフやプリントの仕方によって、大きく印象が変わりますね。 グラデーションに挑戦された方もいらっしゃいました。絶妙な色使いで、なんと金色に光って見えるような表現も!(金インク不使用です)色使いの奥深さを感じました。
今回お作りいただいた作品は、そのまま手ぬぐいとしてお使いいただけますし、手芸で他の形に加工していただくこともできます。パターンのプリントの仕方をマスターすれば、作品の幅が広がりそうです。

シルクスクリーンは文章にすると、難しそうに見えてしまいますが、とてもシンプルな仕組みの技法です。シルクスクリーンは、「創作週間」というアトリエを開放している日でも体験していただけますので、お気軽にお越しください。詳しくは、静岡県立美術館のHP、「アートを学ぶ・体験する」より「創作週間」のページをご覧ください。

 

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1/20 わくわくアトリエ「空想の街に、地図でトリップ!」

熱中
「めがねと旅する美術展」出展作家の今和泉隆行さん(空想地図作家)を講師にお招きし、空想地図を作るワークショップ「空想の街に、地図でトリップ!」が開催されました。当館に展示されていた作品《空想地図「中村市」(なごむるし)》(http://imgmap.chirijin.com/viewmaps/)をご覧になった方はご存知かと思いますが、今和泉さんの創り出す空想の街の地図は、実在する都市と見紛う精工さで、何も知らずにその地図を渡されたら、日本のどこかに存在している街と信じてしまうほどの出来栄えです。今回、子どもや親子向けのワークショップで「地図を作る」という運びになり、今和泉さんのハイクオリティな地図のイメージから、これをどうやって、地図にふれたこともないかもしれない子どもたちのレベルに落としこむのだろうと思っていました。

1今泉さん
今和泉さんに言われるがまま、事前打ち合わせもなく当日を迎え、ワークショップ直前に簡単な打ち合わせを行いました。用意して下さった地図シート(といっても、地図上で見かけるような、ビジネス街、工場、商業地域、住宅地、農地、山林といった地図模様のパターンがA4用紙いっぱいに印刷されているシンプルなもの。下図参照。)を前に、「どうやって地図を作るのですか?事前に作り方を教えていただけますか?」とお願いすると、きっぱり「作り方なんて無いです。このシートを適当に切って貼ってつないでいけば、地図はできます!」と言われました。カーナビやグーグルマップに頼りきりな私からすると、地図を読むのもやっとなのに、予備知識なしで作れるなんて…信じがたい一言でしたが、なにはともあれワークショップが始まりました。

キット

WSスタート
はじめに、今和泉さんの自己紹介、地図の縮尺に関する簡単な解説と地図シートや道具類の使い方の説明がありました。今回のワークショップでは、空想の街を描くための白画用紙(A4より小さめ)を台紙とし、前述の地図シート、そのほかに「山」を表す緑系の色紙や、「水辺」を表す青系の色紙を用意しました。これらを自由に切り取り、貼り付け、さらに水性ペンやラインテープを用いて、山河や街をつなぐ「道」を引き、地図を作っていきます。

道具の説明
道テープ

今和泉さん曰く、小学3年生くらいから、サポート無しでも自発的に地図を作り始めるとのことでしたが、本当にその通りで、シートをどんどん切り抜いて、次々と白い画用紙の上に並べ始めました。不思議なもので、真っ白い画用紙の上に、山がひとつ、川がひとつ、小さな住宅街がひとつ…と置かれていくたびに、本当に、それらしい地図が見えてきました。地図に関する知識を多少なりとも持ち合わせている大人よりも、先入観のない子どもの方が、想像力と感覚で、ユニークな地図を作っていくように見えました。

どんどん切る
協力して作る
今回のワークショップは親子参加が多かったこともあり、一緒に制作している様子も見られました。「空想の街の地図を作る」という共通の目的のもと、お互いの希望を伝えたり、作業を分担してみたり、自然と会話が生まれるようで、楽しそうな声があちこちから聞こえてきました。お父さんと息子さんで制作されていたチームは、計画からじっくりと時間をかけて、本当の都市計画に立ち会っているようでした。きっと、親子でも知らない一面を見る、新鮮な機会になったのではないでしょうか。

父と息子

各地で地図をつくるワークショップをされている今和泉さんですが、参加者の方々が作る空想地図には、無意識の内に、ご当地感が反映されるとのことでした。静岡市近郊から参加された方々の空想地図の多くに、山の緑のエリアと、海や川といった水辺を表す青色のエリアの両方が配置されていました。それから富士山を置いた人も何人か見られました。山の幸、海の幸に恵まれた静岡は、本当に住み良い場所ですから、空想の街にも必須ということですね。ちなみに下の写真はスタッフが作成した空想地図です。特に意識した訳では無いのですが、古墳と温泉旅館のある街になっていました…。

旅館街

開始から2時間ほどで、参加者それぞれの個性が際立つ、空想の街の地図が完成しました。さいごに、皆さんが作った空想地図を1枚ずつモニターに映し出し、今和泉さんがその地図を読み解いていきました。

書画カメラで映す
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地図を読む2
地図を読む
「ここには巨大な空き地があります。ここは一体何なのでしょうか、地図上には載せられない国家機密級の何かが隠されているのでしょうか…」それぞれの空想地図に見られる特徴を、リアルに読み解いていく今和泉さんの視点が面白く、笑いを呼んでいました。

住人と地図を読む2
そして街の住人(地図の作者)にも、どういった意図でこの地図を描いたのか発表していただきました。他の人が作った地図を読むことで、その人の生活感や、人生観まで垣間見れ、非常に面白かったです。子どもが描く空想の街は、街全体が回遊型の遊園地になっていたり、どこまでも夢にあふれていました。

夢の街
今和泉さんは、7歳の頃から実在しない都市の地図を描きつづけ、今でもその地図は広がりつづけています。ちょうどこのワークショップを終えた後に、今和泉さんの著書『「地図感覚」から都市を読み解く』(晶文社)が発売予定です。今和泉さんのすごいところは、地図の完成度のみならず、空想の地図が現在の仕事の基盤にもなっているということではないでしょうか。今後も空想地図とともに、様々な事業を展開されていくのだと思います。空想の世界も追及すれば、現実の世界に新たな視点を投じることができるということ。今回のワークショップで、子どもたちにそこまで伝わったかどうかはわかりませんが…いつか、思い出してもらえたら嬉しいです。

 

美術館の独り言

12/8・9 実技講座「樹花鳥獣図屏風を3Dにしよう」

 

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実技室プログラムのお知らせです。12月8日・9日の2日間で、現在開催中の「めがねと旅する美術展」出品作家の、山田純嗣さんをお招きして、2日間の講座を実施しました。山田さんは美術史上の名画を立体化し、それを撮影したものの上からさらに描写を重ねるという、独自の技法で制作をされています。

今回の講座では、山田さんの作品プロセスの一部に倣って制作しました。ワークショップでは、メガネやカメラに相当する手作りの装置を覗きながら、当館所蔵の伊藤若冲《樹花鳥獣図屏風》の右隻をジオラマとして再現しました。装置から立体化された作品を覗いてみると、どうなるのでしょうか?当日の様子をご覧ください。

<1日目>

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まずは山田さんご自身の作品についてのご紹介と、今回作るメガネやカメラに相当する装置についての説明がありました。山田さんの目の前に置かれている木箱が、その装置です。装置は木製の箱で、のぞき穴が付いています。まずは一人一つの箱を作るために、板をグルーガンで接着させて組み立てる作業から始まりました。

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次に、樹花鳥獣図屏風をプラスチック板にトレースします。このプラスチック板が、動物を配置するときに重要な目印の役目になります。

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そして、背景用に竹ひごを2本通します。最後にこの竹ひごから、背景の植物や動物を吊るします。さらに地面になる底面を、樹花鳥獣図屏風の見本を見ながら塗っていきます。本物を一見すると緑のベタ塗りに見えますが、茂みの線など、微妙な表情をつけて塗っていきます。IMG_2878

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地面が完成です。地面と草の絶妙な色合いが表現されています。

 

お昼を挟んで、いよいよレジンで動物たちを型取りします。こちらの山田さん作成のシリコン型を使用します。レジンを流し込む前に、離型剤を塗ります。

 

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レジンは2種類の液の反応で固まります。あらかじめ、それぞれ同じ分量を量っておき、一気に混ぜて、シリコン型に流し込みます。すぐに硬化が始まるので、手早く作業します。

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このまま10分程度固まるまで待ちます。型は4種類あるので、この工程を4回繰り返します。
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こちらが方から外した状態です。これからパーツごとに外して、ヤスリやカッターを使って、形を整えていきます。IMG_2895

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とても細かい部品の数々!これほど沢山の動物が屏風の中に居たことに驚きます。作られたパーツと、屏風を照らし合わせて、パーツがそろっているか確認します。

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レジンの気泡が入って、穴があいた場所は、パテで埋めて、一晩置いてからヤスリで削ります。ここで一日目が終了です。

 

<2日目>

昨日に引き続き、レジンで作った動物の形を整えます。昨日パテで埋めた部分もヤスリで整えます。細かい凹凸がありますので、削り落とさないように慎重に進めていきます。

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このように、小さいパーツを作業しやすいように工夫されている方もいらっしゃいました。

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ときどき箱の中に入れてみて、完成を想像しつつ、一休憩…。

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形成が完了次第、着彩に移ります。動物の種類は沢山ありますが、それぞれ共通した色が用いられている箇所があります。山田さんが、それぞれのベースの色とアクセントの色を書きだしてくださったので、これをヒントにして塗っていきます。それぞれの立体に共通する色を一気に塗って、上に重ねて着彩するのがポイントです。

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よく見ると、動物たちには、さまざまな模様があります。はたして、どこまで再現できるのでしょうか…

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一つ一つの動物が形になると、この動物はどこを向いているのか等、表情が気になってきて、つい動物同士のストーリーを考えてしまいます。

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最後に、動物を固定して、手前と奥の植物を設置したらついに完成です。

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上から見ると、このような配置になりました。

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意外と動物同士に距離があり、少しバラついて置かれているように見えるのですが、穴からのぞいてみると・・・

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樹花鳥獣図屏風の世界になっています!のぞき穴という限られた視点から見ると、私たちのよく知っている樹花鳥獣図屏風の絵になっています。なんだか不思議な気持ち…。

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今回のワークショップでは、お馴染みの《樹花鳥獣図屏風》をテーマにしましたが、平面の作品を立体化することで、空間という新しい視点が加わり、動物たちの配置を考えたり、一つ一つ見ていくことで、新たな発見をすることができました。これから他の作品を鑑賞するときに、誰の視点から、どのように見たのか考えたり、描かれているモチーフから見た視点など、平面と立体を往来するように鑑賞すると、作品の見方が広がりそうですね。

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10/28 わくわくアトリエ「色をあつめて、光のカーテンをつくろう!」

10月さいごの日曜日に、小・中学生を対象としたワークショップ、わくわくアトリエ「色をあつめて、光のカーテンをつくろう!」が実施されました。このワークショップは、現在、静岡市内4か所(静岡県立美術館・静岡市美術館・中勘助文学記念館・東静岡アート&スポーツ/ヒロバ)で開催中の「めぐるりアート静岡」(10/23~11/11)とのコラボレーション企画で、当館の展示を担当されている鈴木諒一さんを講師にお招きしました。どんなワークショップがおこなわれたのか、当日の様子をご紹介します。

セロファンは透ける

はじめに、鈴木さんの自己紹介と作品紹介がありました。鈴木さんは、写真を主な手法として作品を発表されています。写真は、光の現象を留めることができる代表的な道具といえますが、今回のワークショップでは、カメラなどを用いずに色や光をとらえ、遊びながらその存在を自然に意識してもらえるようにと考案されました。

はじまり

午前中は、透明の板と油性マジックを持って、色あつめに出かけました。下の写真は、鈴木さんが色のあつめ方を子どもたちに説明しているところです。透明の板越しに、参加者の子の服の色を写し取っています。トレーシングペーパーなどを使ってイラストを写すのとは違い、現実の世界の色を写し取りますので、対象は無限に存在します。鈴木さんから「これはすごく難しい作業だけど、何を写してもいいし、上手くかたちを取らなくてもいい、あきたら途中でやめて他の色を写してもいいよ」という言葉を受けて、子どもたちはざわざわ…好奇心の高まりが感じられました。

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早速、美術館の中や外などへ、個々で色あつめにでかけました。「色あつめ」なんて学校では習わないでしょうから、子どもたちがどんな風に反応するだろうと思っていましたが、はじまるとすぐに方々へ散って、あちこちを移動しながら、たくさんの色をあつめていました。

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下の写真の子は、遠くの山や木々を写している様子でした。ひとつだけ赤くなっているところは、紅葉した木々でしょうか。しばらくの間、ずっとこの場所に留まって描いていたのが印象的でした。

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いつもなら目が届かないような塀の上に色を見つけた子もいました。お母さんも透明の板を持って協力してくれました。

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色はどこにあるかな…と探していると、見過ごしてしまうような小さなお花にも気が付くようで、どんどん、色をあつめに熱中していく様子が見てとれました。

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時々差し込む太陽の光に気をつけながら、寝転がって空の色をあつめている子もいました。

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つぎに、あつめた色を持ち寄り、実技室でプロジェクターの光に当てて鑑賞しました。暗い部屋で透明の板に光を当てると、油性マジックで色を塗った部分がスクリーンに投影されました。

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鈴木さんが、子供たちに「何を見て色をあつめてきたの?」と問いかけると、次々と、写した色について教えてくれました。

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色をあつめた透明の板をプロジェクターに接近させると、投影される光の見え方が変化しました。子どもたちは、板を近づけたり遠ざけたりと、感覚的に実験をしながら、板に着彩されたものと、そこに光を透過させることで現れる現象のちがいを楽しんでいる様子でした。

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板の角度を変えたりしていると、時おり、思わぬ場所にも光が現れました。下の写真は、実技室の天井です。オーロラのようにゆらめいて、とても綺麗でした。

天井の光

午後は光を透過する柔らかい白い布に、セロファンやインクで色を施し「光のカーテン」をつくりました。布にセロファンを貼りつけて光をあてると、透明の板と同じように、セロファンの色を他の場所に写すことができます。布に赤青黄のインクで描くと、とても綺麗に発色しますが、光をあてても色を投影することはできません。ライトの光と自然光、どちらの光でも楽しむことができる、素敵なカーテンづくりが始まりました。

実験道具

何も描かれていない布が実技室にたくさん吊るされ、なんだか不思議な空間になりました。鈴木さんの意向で今回は、あえて机を使わずに、カーテンとともにゆらゆらと揺れつつ、布の表と裏を行き来しながら制作してもらいました。

カーテンがいっぱい

子どもたちにとっては、自分の背丈ほどもあるような大きな布ですが、みるみるうちに、カラフルに彩られていきました。

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セロファンをくしゃくしゃにして、面白いかたちにカットしてみたり…光を当てたら、どんなふうに見えるでしょうか。

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カーテンの裏側から見ると、自分の描いたものや、色の重なりが、少し違ったふうにも見えてきます。

カーテンの向こう

ジャクソン・ポロックのように、インクを布に飛ばしながら描いている子もいました。青いセロファンのアクセントも素敵です。

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布の一部分を縛って絞り染めのようにしてみたり、みんな次々と、思いついたアイデアを実験している様子が見て取れました。

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カーテンが出来上がったところで、もう一度外に遊びに行きました。柔らかい布を手にした子どもたちは、なぜだかくるまれたくなるようで、被ったり、まとったり…小さな王子さまやお姫さまがたくさん出現しました。

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午後の優しい光の中でふわりとカーテンを広げると、セロファンがきらきらと輝いて素敵でした。風を受けた布の様子や布越しの景色、子どもたちにはどんな風に見えていたのでしょうか。

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みんなが外で遊んでいる間に、スタッフが実技室を暗室にして光源をセットしました。明るい外の光から突然の暗がりに、子どもたちのテンションも一層高まりました。

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部屋は暗くしたまま、プロジェクターの光に当てたり、懐中電灯やランタンの光に布をかぶせたりしながら布の表情を楽しみました。壁や天井に不思議な光がたくさん現れ、太陽光のもとで遊んだ時とは違う、幻想的な色と光の世界が広がりました。

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誰かが、布に下から光を当てて見ると面白いことを発見すると、みんなが同様に実験を始めました。子どもが布の下に寝転がり、大人が布を持ってふわふわと上下させると、とても素敵な世界が見えるようで、時間を忘れて眺めていました。

実技室で行われる子ども向けワークショップは、作品(例えば絵画作品や彫刻作品など)を「作る」体験が中心になることが多いのですが、今回のワークショップでは「色」や「光」という捉えどころのないもの材料にして「光のカーテン」づくりに挑戦しました。子どもたちにとって、解釈が難しい場面が出てくるかもしれないと予想をしていましたが、そんな心配は全く無用で、遊んでいるうちにいつの間にか、たくさんの色と光が実技室にあふれていました。