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夏休み子どもワークショップPart2.「銅版画 ほめられたこと おこられたこと」

夏休みこどもワークショップPart2の先生には、同じく新収蔵品の作者である重野克明氏をお招きしました。
2日間銅版画のエッチングという技法で、2つの作品をつくりました。
テーマは、「ほめられたこと」と「おこられたこと」。
ほめられて嬉しかったことも、おこられて悲しかったことも、どちらも大切な思い出です。

どんな作品が出来上がったのか、ワークショップの様子を見てみましょう!

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子どもたちにとって、銅版画は未知の技法。
銅版画でつくられた作品とは一体どんなものか…?ということで、
講座の最初は、現在開催中の収蔵品展「フランス版画コレクション」をみんなで観覧しました。

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重野さんもお好きなジャック・カロの作品もありました。
近づいて、細やかな表現を追います。それぞれ、ワークシートにお気に入りの作品のタイトルをメモしました。
戦争の残酷さを描いた作品もありましたが、みなさん熱心に見てくれました。

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部屋帰ってきてから、重野さんの作品を鑑賞しました。
歴史的な著名人を描いたもの、手羽先などやお風呂の場面など…
日常の身近な風景や出来事を作品にしたものや、想像の世界を描いた沢山の作品を目の前にして、
子どもたちから様々な質問が飛び交いました。

 

次に、最近の「ほめられたこと」と「おこられたこと」を文章で書き、
「フレーズ」(タイトルやキーワードのようなもの)を作ります。

今回の先生の重野さんが、この「フレーズ」から絵を描くというやり方をされているので、
子どもたちも同じようなやり方で作品をつくってみました。

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フレーズをもとにして、絵を描きます。
あの時、どんな場所で、誰が居たのか、状況を細かく思い出していき、密度を高めました。

絵が完成したら、銅版に転写していきます。

ここから細かい作業が続きます。
休みながら絵を写していきますが、みなさん速いペースで黙々とこなしていました。
出来上がったところで、やっと1日目を終えました。

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2日目は、ニードルで転写した絵を描きます。
ゆっくり、丁寧に、ズレないようにニードルをはしらせます。

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そして、いよいよ腐食をさせます。
銅を溶かす塩化第二鉄という液の中に、銅版を入れます。
難しい仕組みだと思いますが、
「10円玉入れたらどうなるの!?」と質問があったり、
興味津々に見てくれていました。

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そして、お待ちかねの刷りに移ります。
インクを版に詰めていきますが、拭き取り加減が作品の印象を左右させます。

 

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次にプレス機を使って刷っていきます。
2日かけて作った版、どういう風にできあがるのか…みんな真剣な眼差しです。

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試し刷りと本番合わせて計4枚刷りました。
大人でも4枚刷るのは大変ですが、徐々にインクの拭き取りなどコツをつかんで、良いペースで次々と作品ができあがりました。

 

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それぞれ味わいのある作品ができあがりました!
このあと、自分のサインも入れてお持ち帰りいただきました。

この「ほめられたこと」「おこられたこと」という最近の一瞬の出来事を 長い時間考えて、一つの形として残すことができました。
きっと大人になってこの作品を見返したときに、ほめられたことや怒られたときの気持ちを鮮明に思い出すことができるのではないでしょうか。
ワークシートにもたくさん自分の考えが書かれています。
どうか作品と一緒に、大切にしてくださいね。

 

 

 

 

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8/9‐10 夏休み子どもワークショップPart1「きらきらえのぐでモダンアート」

静岡県立美術館では、小学生を対象に「夏休み子どもワークショップ」を毎年実施しています。小学生の場合、学校の団体観覧などを除いては、美術館に訪れる機会が決して多くないというのが現状です。このワークショップでは、時間を贅沢に使える夏休みを利用し、普段はなかなか接することの出来ない、アーティストや美術作品と親しむ機会を作り出すことを目的としています。

今年は、8/9日~12日までの4日間を2日間ずつのパートに分け、Part1「きらきらえのぐでモダンアート」(講師:現代美術家・大庭大介氏)と、Part2「銅版画 ほめられたこと おこられたこと」(講師:版画家・重野克明氏)を実施しました。講師にお招きしたおふたりは、今年の4月に行われた「新収蔵品展」出品作家です。講師を担当していただくにあたり、ご自身の活動と、美術館で行われている展覧会の内容との両方を考慮した上で、ワークショップを考案していただきました。

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それでは、8/9日、10日に実施された、Part1「きらきらえのぐでモダンアート」の様子からご紹介いたします。Part1の講師を務めて下さったのは、現代美術家の大庭大介さんです。このワークショップでは、参加者の子ども1人につき1作品、40×40㎝の正方形キャンバスに、大庭さんが制作で使用しているのと同じ「偏光パール絵の具」を用いて、モダンアートに挑戦してもらいました。

【1日目/午前】

はじめに、大庭さんの自己&作品紹介がありました。大庭さんの作品には、偏光パールという特殊な絵の具が用いられています。一見すると真っ白に見える画面が、光の角度や、鑑賞者の立ち位置の変化で白蝶貝のように七色に輝き、画像が浮かび上がります。制作の仕方も独特で、プロジェクターで画像を投影しながら描いたり、絵の具を削ってみたり…。ベイブレードを使って描いた作品が紹介された時は、男の子たちが一気に盛り上がりました。みんな、はじめて目にする不思議な作品、作り方の数々に目を見張っていました。

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つぎに、現在開催中の展覧会「美術館に行こう!ディックブルーナに学ぶモダン・アートの楽しみ方」を鑑賞しました。モダンアートとひとくくりに言っても、作品は多種多様です。描き方が面白いもの、素材に特徴があるもの…、今回の参加者は小学校の低学年が中心ということもあり、難しく説明せず、直感で受け取った感覚を大切にしてもらいたいと思いました。この後の制作につながるようなインスピレーションが得られたかな…?

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【1日目/午後】

午後は、キラキラえのぐ作りからスタートしました。今回使用するのは、全部で5色です。赤、青、黄、緑、白、ふつうの絵の具ですと一目了然ですが、偏光パール絵の具は、全部、白い絵の具に見えます…。偏光パール+ジェルメディウム+水を決められた分量で正確に計って混ぜていきます。絵の具をチューブから出すだけじゃないんですね。最適な状態で使うためのこだわりがあるんです。子どもたち、自分が何のためにそれをしているのか分かっているかが疑問ですが、絵の具を絞るとか、ぐるぐる混ぜるとか、こういった作業が大好きです。

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キラキラえのぐが出来たら、机に敷いたシートの上に絵の具を垂らして、マチエール(絵の表面の質感)作りを開始します。このシートは「クッツカーネ」(商品名)という特殊なシートで、絵の具が乾いた後もシートにくっつかず、シールのように絵の具を剥がすことが出来ます。この特性を利用して、キラキラえのぐで色々なマチエールを作って、乾いた後にそれらを切って、キャンバスに貼って、コラージュで作品を作ってみようというわけです。

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えのぐを細く垂らす、櫛で引っ掻く、ストローで表面に気泡をつくる、スキージーで3色いっぺんに薄く延ばす…身近な道具を使って、次々と新しいマチエールが生まれていきました。すぐに自分の机いっぱいに絵の具が広がっていく子と、考え込んで一向に進まない子がいます。何かをお手本に「上手な絵」を描こうとしているわけではないから、それで当然です。素材も作品も即興で、ひとりひとりが考えるペースで出来上がっていきます。みんなの机が絵の具でいっぱいになったところで、1日目が終了しました。

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【2日目/午前】

朝、実技室に来ると、昨日の絵の具がほとんど固まり、簡単にペらっと剥がすことが出来ました。剥がす前に室内の灯りを消して、窓から射しこむ自然光で絵の具を観察しました。乾いた後の方が色の違いがはっきりして、光を受けた絵の具がキラキラと輝き、とても綺麗でした。

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ここからがいよいよ本番です。自分が作ったキラキラ絵の具を材料にして、40×40㎝のキャンバスにコラージュをしていきます。素材作りの段階から完成図をイメージ出来ていた子もいれば、本能の赴くままに素材を作っていた子もいます。なんにせよ、ひとつの作品として仕上げなければなりません。

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時々様子を尋ねると、小学1、2年生の子は、ここは山で、こっちは海、これはお花で、これオタマジャクシ…のように、かたちから連想した素材と素材を繋ぎ合わせて、画面に物語を作っているようでした。

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高学年の男子たち、恥ずかしがって見せてくれません…。でも真剣に作品と向きあっていました。何にも考えず、マチエールの変化を重ねてみる、という方が、むしろモダンアートな感じもします。

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【2日目/午後】

午前中から制作を開始し、お昼休憩をはさんで4時間も集中して作品を仕上げました。3時には保護者の方も実技室内に迎えて、作品発表会を行いました。展示パネルを、光の差し込む方向と向かい合わせになるように設置すると、みんなの作品が虹色に輝きました。子どもたちやスタッフ、親御さんたちからも「わぁ」と歓声が上がりました。

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発表会では、1人ずつ前に出て、自分の作品についてお話しました。アーティストトークデビューです。大庭さんの「これは何?」「どんなことを工夫しましたか?」の質問に、みんな照れちゃってタジタジでした…。休憩中はあんなにおしゃべりして、元気いっぱいだったのに~(笑)。

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2日間たっぷり、モダンアートを堪能し、制作にも没頭出来たのではないでしょうか。ちゃんとカタチになって、本当に立派な作品が完成しました。最後に大庭さんから「この作品はきっといつか宝物になるから大事にしてね」とメッセージがありました。作品とともに、美術館で過ごした時間、アーティストさんと過ごした時間も、大切な思い出にして下さいね。

 

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7/31 ねんど開放日

実技室プログラムのご案内です。
今日は1ヶ月ぶりのねんど開放日でした。お天気も大変よく、朝からたくさんのご家族がお見えになりました。

子どもたちは夏休みに入っていることもあり、いつもに増して元気いっぱいでした。今日のように暑い日「ねんど開放日」は、とってもオススメです。室内で遊べるということに加えて、実は、ねんどって…ひんやりと冷たいんです!下のお写真からもわかるように、子どもたちも、知らず知らずのうちにねんどをふみふみ…
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こっちの子もふみふみ…足の裏が冷たくて気持ちいい~。RIMG1997
ねんど開放日にご参加いただける年齢は、3歳以上となります。まだ造形遊びに自信がなくても、こんなふうにねんどと戯れるだけで、とっても楽しいですよ。まだまだ暑い日はつづきますので、美術館の展覧会鑑賞+ねんど開放日をセットにして、1日中、涼しい美術館でアートを堪能してみてはいかがでしょうか。
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【受付状況】

本日は10:00の受付の時点で、約130名ほどの方が並ばれました。
90名のうち80名までは10:00受付の回、残りの方には希望する回の整理券をお渡ししました。
11:00受付の回、13:45受付の回は定員内で活動していただきました。

次回のねんど開放日は、8月28日(日)です。
受付方法等はこちらをご覧ください。

★実技室の中には、貴重品・カメラ・タオル以外のお荷物はお持込いただけませんので、ウェストポーチなどの身に着けられる小さめの入れ物をご準備ください。たくさんのご参加をお待ちしています!

 

 

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7/24 わくわくアトリエ「モダンアーティストの誕生」

現在開催中の「美術館に行こう!ディックブルーナに学ぶモダン・アーティストの楽しみ方」展に関連して、小中学生限定の、わくわくアトリエ「モダンアーティストの誕生」が行われました。「美術館に行こう!」展には、静岡県立美術館が所蔵するモダンアートが数多く展示されています。モダンアート(現代美術)というと、抽象的な作品を想い浮かべ、どこか難解な印象を受けるかもしれませんが、今回の講座では、展覧会の鑑賞+絵の具遊びを通してモダンアートを体感することで、作品を身近に感じてもらうことを目的としました。

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はじめに、展示室へ展覧会鑑賞に向かいました。このプログラムのナビゲーターを務めたのは、静岡県立美術館・実技室のリーダー、石津さんです。小出楢重《静物》と森村泰昌《批評とその愛人》を前に、作品の価値が「本物らしく上手に描かれている」ことに重きを置かれていた時代から、もっと色々な側面が見出されるようになったというお話を聞きました。子どもたちは??顔ですが、この「?」を感じることがとても大切なのだと思います。平面なのに動きのある絵や、きれいな音の出る作品、不思議な突起のある作品、意味はよく分からないけど…先入観なしに作品を見れるのは子どもだからこそ。色々なモダンアートを鑑賞しました。

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つぎに、外展示テラスで大胆に絵の具を使って、モダンテクニックを体感しました。床面いっぱいに、一色で―(線)を描いていきます。他の人が描く違う色の―も次々と足されて、なんだかきれい。次に線と線の間や、自分が描きたいと思うところに○を描いていきました。さらに絵の具をぽたぽた垂らしたり、網とブラシでスパッタリングをしたりして空間を埋めていくと…なんだかアートっぽい感じになりました!

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そしていよいよ、ひとりに一枚、画用紙を水張りした大きなパネルが手渡され、モダンテクニックを使った作品づくりに挑戦です。真っ白の画面と向き合って、みんな最初は少し緊張気味でしたが、さっきやったように、色を置いてみたり、線を描いてみたりしながら、自分の中から自然に生まれてくるものを画面に落とし込んでいきました。

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なかにはさいごのさいごまで何を描こうか考え込み、画面を青一色に塗ることに徹した子もいました。でもそれで良いんです。本当に。有名なモダンアーティストの作品にも、青く塗っただけの作品があります。その人にとって、何百色と存在する色の中から、青という色を選び取ったことが、とても意味のあることなのだと思います。

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みんなそれぞれに個性が光る、素敵な作品が仕上がりました。見て、描いて、身体でめいっぱい、モダンアートを体感できましたね。

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7/18-19 実技講座「シルクスクリーン」

 

実技室プログラムのご案内です。

7月18日・19日の2日間で実技講座「シルクスクリーン」を開催しました。
毎年開催している本講座、去年は紙にシルクスクリーンをプリントしましたが、今回は布ということでTシャツにプリントしました。

講師には、Tシャツアート・現代アート作家の北川純さんをお招きし、
今回は北川さんの作品についてお話をうかがうところからスタートしました。

 

きたがわさん

「プリントごっこ」でシルクスクリーンの仕組みに出会った北川さんは、
現在はシルクスクリーンでTシャツを制作しながら、
立体作品やインスタレーション作品など、幅広い分野で制作活動されています。

今回はTシャツの裾をめくると柄の変わる「脱ぎT」シリーズ等のTシャツの作品から始まり、
販売Tシャツの売れ残りを街中の銅像に着てみたところから始まった「裸体像Tシャツ計画」等の
インスタレーション作品まで、映像をはさみつつお話いただきました。
女性をモチーフにした刺激的な作品とともに、北川さんの軽快なトークで笑いの絶えない時間になりました。

その後はシルクスクリーンの仕組みや手順をレクチャーしていただき、
スクリーンに乳剤を塗るところから始めました。
この乳剤は紫外線で感光させると硬化するので、手早く作業します。
シルクスクリーンはこの性質を使って、
紫外線の当たる場所・当たらない場所を作ることで、ステンシルのプレートのような版を作ります。

乳剤塗り

乳剤が乾いたら用意した原稿を版にセットして、紫外線を当てます。

感光

感光後、水をかけると感光してない部分(紫外線の当たらない部分)が抜け落ちます。

 余計な部分が抜け落ちないように様子を見ながら水流で現像していきます。

現像

作業量的には頑張れば1日でも終わりますが、ここまで終えるのにやっとの思いです。

みなさん無事に版が出来上がり、1日目を終えました。

2日目はついに最終工程のプリントです。

プリント

刷るときの力で版がズレないように、他の人に協力してもらって刷ります。

だんだん慣れてくると、何色も使う人が!
みなさん色にこだわって、真剣に混色されていました。

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さて、どんな風にプリントできたか、作品をちょこっと見てみましょう!

作品

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それぞれ素敵なTシャツが仕上がりました。
今回はみなさんの進度が速かったので、他にプリントできそうなものも少し持ってきていただきました。
静岡もやっと梅雨が明け、夏本番になりました。
ぜひ今回作ったTシャツを着て、今年の夏を楽しんでくださいね!

静岡県立美術館の実技室(アトリエ)では、実技室で来館者の方々に自由に創作活動をしていただける「創作週間」という期間を設けており、今回のようなシルクスクリーンもしていただけます。
次回の創作週間は、7月20日(水)~23日(土)の間で静岡県立美術館の実技室で開催します。
初心者の方でも、お気軽に見学・お問い合わせください。